【第2回】
イギリスパン、食べくらべ(大試食会編)。
こんにちは。
「リトルマーメイド・イギリスパン研究会」です(通称・パン研)。
前回の「イギリスパン食べくらべ」では、まず自分たちのイギリスパンをもっと知るためにいろいろなパン屋さんで売られている35種類のイギリスパンを食べくらべたのでした。
食べくらべてマッピングした結果を要約するとこんな感じ。
食味も食感も見事に散らばっていますね。
ちなみにリーンな生地とは、小麦粉、水、酵母、塩といった最低限の原材料からつくったシンプルな生地のことでバゲットなどが代表。
リッチな生地は、その最低限の原材料にさらに油脂や砂糖、卵、乳製品などを加えたちょっと甘めの生地のことですね。クロワッサンやデニッシュペストリーなどがそうです。
で、前回パン研メンバーのほぼ全員が自信を持って「イギリスパンといえば」と思い描いていたのが赤い★のポジションです。
生地は「リーン」で、食感は「サックリ」寄り。
はい、リトルマーメイドのイギリスパンはまさにこの1点をめがけておいしさを磨いてきました。
小麦粉、水、酵母、塩、わずかばかりの油脂と砂糖だけで焼き上げたシンプルな味わいのイギリスパンです。シンプルってことは、色に例えるなら「白」。だからどんな他の色(食材)にもあわせやすくて、毎朝続けても飽きたりしない。服と同じですね。
つまり、「イギリスパンは、シンプルじゃなきゃ!」なのです、私たちパン研メンバーにとっては。
でも、みんなそうなのかな?
そこで、女性だけのパン研メンバーからもう少し範囲を広げて、リトルマーメイド本社のいろいろなシゴトをしている社員のみなさんに食べくらべ(試食会)のお願いをしたのでした。
せっかくなので、ちょっとゲーム性を加えて今回はパン屋さんの名前を伏せたブラインドテストです(にやり)。
さすがに35種類すべてを食べてもらうのは大変なので、先ほどのマップをもとに8種類に絞り込みました。
リトルマーメイドの良きライバルとして共にがんばってきた某ベーカリーチェーンさん、イギリスパンでまっさきに思い浮かべる人も多いかもという有名イギリスパンさん、オープンしたときはワタシもすぐに並んで買った話題のイギリスパンさん、そしてテレビCMでおなじみの袋入りパンの大手メーカーさん、これまでたくさんの人々を魅了してきた歴史ある老舗店さん、そしてリトルマーメイドの同じグループからアンデルセン兄さん、そして我らがリトルマーメイド(じつはその改良試作品もこっそり1品混ぜています)の8品です。
今回の試食会の参加メンバーは、リトルマーメイド本社ではたらくスタッフのみなさん。
職種もいろいろ、性別も年齢もいろいろ、パンの好みもいろいろ。
ふだんはパソコンの前で数字とにらめっこしている人、図面を広げて店舗づくりに携わっている人、製造や販売の教育をまかされている人、販促の企画を考えている人、リトルマーメイドのお店を日々廻って店長さんたちといっしょに運営をサポートしている人、などなどいろんなシゴトの人たちです。
さて、ルールを紹介します。
8種類のイギリスパンを、①そのまま②トーストの順番で食べてもらい、それぞれ感想を記入してもらいます。
そして最後に3つの質問に回答してもらうことになっています。
では、さっそくはじめましょう!
まず、最初のグループ。
みなさん目が真剣。
じつは今回、できるだけ"愛社精神"を脇に置いたホンネのところを聞きたいので、パン屋さんの名前は隠して、回答も「無記名」にしました。
ですが...ある質問が想像以上にプレッシャーをかけてしまったようなのです。
その質問はおそらくこれ。いや絶対これ。
質問3)リトルマーメイドのイギリスパンはどれでしょう?
もうみなさんこの質問で頭がいっぱいなのではと思うくらい、全力で当てにいっています。
そんなこんなで、みなさんイギリスパンを手にとっても、なかなか食べない。
まず、じっくりと見る。(こやつがリトルマーメイドか?)※想像です
グリーンの芝を読むように、焼き皮の目を読む。(こやつがリトルマーメイドか?)※
まだ食べない。風味をきいてみる。(こやつがリトルマーメイドか?)※
ひたすら集中して、香りを確かめる。(こやつがリトルマーメイドか?)※
前回もご紹介したように、パン屋さん(の関係者)がパンを食べるときは、まずにおいをかぐという人が多いです。ワイン(パンとは発酵仲間)と同じで、まず風味を確かめたくなるんですね。リトルマーメイドのイギリスパンは、よぶんなものを極力加えてないシンプルなパンですから、においをかげばきっとわかるはず。
「迷わずいけよ。かげばわかるさ」
ていねいに風味を探った後に、おもむろにイギリスパンを口に...
あ、みなさんの顔がすこし緩んだ。
思っていたよりも味の違いがはっきりしていたのかな...。
(ここ見てみ?これがリトルマーメイドよ)※あくまで想像です
ひとつ、またひとつと食べ進めて、また真剣な顔に戻る。
みなさん8種類の違いはすぐにわかるみたい。食べるまでのルーティーンは長いのですが、いざ食べると回答シートの感想欄はすらすら書いてくれます。
でも、やっぱりあの質問で書く手がとまる...。
質問3)リトルマーメイドのイギリスパンはどれでしょう?
ちなみに今回のリトルマーメイドのイギリスパン(と改良試作品)を焼いていただいた我が社のマイスターにも特別ゲストとして参加していただいたのですが、ご覧の通り神妙なお顔&慎重なご試食ぶり。
試食中にも8種類それぞれのパンの素晴らしいところをプロの視点からパン研メンバーに細かく解説していただきました。
31名の社員のみなさんに参加していただき、無事イギリスパンの試食会は終了。
結果発表!
今回は、できるだけ条件を同じにするためにリトルマーメイドのイギリスパンも前日の朝に焼いたものを使いました。でも、他のパン屋さんのイギリスパンは、もしかしたらたまたまベストなコンディションではないものを買ってきたこともあるかもしれない。
また、あえて「どれがいちばんおいしいか」という質問はしていません。おいしさの感じ方は人それぞれ違うものですし、今回知りたかった「イギリスパンとは」という定義が変わるとパンの善し悪しも変わってくるためです。
だから、今回の質問は私たちが考えるイギリスパンの理想像(つまりリトルマーメイドが追い求めてきた課題)をひっくり返して質問にしました。
そのへんも差し引いていただけたらうれしいです。
質問1)毎朝食べるならどのイギリスパンを選びますか?
リトルマーメイドのイギリスパンと改良試作品あわせて66%という結果。
あまりに望んだ通りの結果になったのですが、この数字のウラにはやっぱり「ふだんから食べ慣れている」という理由もあるのかも。
それはそれで「毎朝たべても飽きのこないシンプルなおいしさ」をめざすリトルマーメイドにとっては、うれしいことではありますが。
質問2)こどもに食べさせたいイギリスパンはどれですか?
じつはこの質問、リトルマーメイドでパンの試食をする際にけっこう大切にしていることでもあるんです。リトルマーメイドのお客様は小さなお子さまがいらっしゃるご家庭も多いですからね。
結果ですが、1)と同じく食べ慣れているせいもあるのかリトルマーメイドが1位。社員の感想といえども、やっぱりうれしい...。
2位には、スーパーやコンビニで売られている大手メーカーさんのイギリスパンが工場生産というハンデをものともせずランクイン。
そして、いよいよあの質問の結果です。
質問3)リトルマーメイドのイギリスパンはどれでしょう?
パチパチパチ!みなさんおめでとうございます!
リトルマーメイドのイギリスパンとその改良試作品をあわせると正解率はなんと85%! さすがパン屋さんの社員ですね。
ちなみにリトルマーメイドは「E」の札がついたパンだったのですが、その感想コメントを見てみるとリトルマーメイドがめざしている"まっすぐなおいしさ"が(社員のみなさんには)ちゃんと評価されているような印象です。
日頃パンづくりに関わっていないお仕事の方が多かったせいか他のパン屋さんのイギリスパンを食べる機会は少ないらしく、こうした食べくらべは新鮮な経験だったようです。やはりみなさん同じイギリスパンでもこんなにも個性が違うことにちょっとビックリされたみたい。
あなたは、イギリスパンにどんなイメージがありますか?
もし興味があれば、パン屋さんを巡って食べくらべをしてみてください。
今回つくづくわかったのですが、イギリスパンにもいろいろ個性がありますよ。
想像をはるかに上回るおいしさにびっくりさせられたイギリスパンもありました。その長い歴史を思うと胸がじーんと熱くなる、そんなイギリスパンにも出会えました。今回いっしょに登場したイギリスパンは、どれも評判のお店ばかり。
いろいろなお店のパンを食べてみると新しい発見も多いですよ。みなさんもぜひ!
さて、パン研の1回目、2回目で、私たちのイギリスパンがめざす姿がお互いに確認できました。
これからのパン研は、リトルマーメイドのイギリスパンの長所をいかすべく、いよいよ「食べる!」「楽しむ!」の世界に足を踏み入れます。
というわけで次回は、竹串とイギリスパンをもってお外に出かけます。
お楽しみに!
Backnumber
- 【第1回】 イギリスパン、食べくらべ。
- 【第2回】 イギリスパン、食べくらべ(大試食会編)。
- 【第3回】 竹串とイギリスパンもってGO
- 【第4回】 イギリスパンと日本酒。
- 【第5回】 海から塩をつくってイギリスパンを焼いてみた!